こんにちは。アイオー・安楽です。
土曜日、時間があったので、こんな本を読んでいました。
茶道ではありません、サ道です。
サウナーな作者が、ひたすらサウナについて書いている本です。
最近、サウナーと呼ばれる、サウナ愛好家が老若男女問わず、増えています。
しかし、私はサウナに対して、「暑い!辛い!干からびる!」と、いう印象しかありませんでした。
何年か前、サウナ好きな先輩に無理矢理連れられて以来、何年もサウナには行っていません。
その時も、「サ道」に書かれているように、「サウナ→水風呂」というルーティンを繰り返していましたが、
暑いのも寒いのも苦手な私には、一体何が楽しくてそんなことをしているのか、さっぱり分かりませんでした。
ひたすら耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ、一刻も早く過ぎ去ってほしい時間だったのです。
そんなことから、サウナに対して強烈な嫌悪感があり、温泉や銭湯に入っても近づきすらしませんでした。
しかし、「サ道」に描かれている人たちは、みんなめちゃくちゃ気持ちよさそうなのです。
というか、トリップしてます。
作中でも、「恍惚感がヤバい」「味覚が冴え渡る」など、マリファナを吸った時のような感想まで、出てくる始末です。
いやいや、そこまで気持ち良くなるもんですかね...と、逆に懐疑的になりました。
エナドリを「魔剤」とか「キメる」とかいってるのと同じようなノリで、
サウナーの人たちが「整う!整う!」と、大袈裟にいってるだけじゃないの?と。
なんだか気持ち悪いなと思ってしまいました。
しかし、あるサウナーの一言で、私は大嫌いなサウナに行ってみようと思ったのです。
それは、「前科おじさん」こと、高野政所さんです。
彼が、ピエール瀧が捕まった時、ニコ生の番組で、こんな事を言っていたのです。
「ととのった」っていうのは言い方を変えているだけ。あれはキマっているだけなんで。めちゃくちゃ熱いサウナに10分とか超耐えて、その後に水風呂に入って、それから外気浴すると意識が飛びそうになるんですよ。
「これ、キマってるわー!」っていう。大麻吸っていた俺が言うから間違いない。サウナはキマります!
どうやら、大麻とサウナは似た効果を得られるらしいです。
少し興味が出てきたので、サウナに行ってみる事にしました。
今回、お邪魔したのは、神奈川にある「竜泉寺の湯」というお店です。
どうやら、サウナには「ドライサウナ」と「フィンランドサウナ」の2種類があるようで、「フィンランドサウナ」の方が、サウナ室の湿度が高く、
サウナの嫌なヒリヒリ乾燥する感じがあまりないようなのです。
(90℃前後の室温がいいらしい)
また、水風呂の温度も17℃前後がいいようなので、その条件に合致するサウナ施設を選びました。
竜泉寺の湯には、色々なタイプの温泉があります。
しかし、今回の目的はサウナ。温泉には目もくれず、体を洗って身を清めたら、
サウナに直行します。
「意外と辛くない...」
それが、サウナ室に入った時の感想でした。
全然耐えられます。むしろ汗がドバドバ出てきて気持ちがいい。
5分数えたところで、一旦サウナを退出。
掛け湯をして、水風呂に入ろうとすると、これがきつい。
暑いサウナは耐えられても、水風呂はハードルが高い。
しかし、我慢をして胸あたりまで浸かりました。
本来は、肩まで(頭まで浸かれるところは、頭まで)浸かるのが、
本来の作法のようですが、冷たすぎて無理でした。
そんなこんなで、数分水風呂を耐えた後は、「ととのいイス」へ。
「ととのいイス」とは、温泉でおっさんが腰を下ろしている、こんな椅子です。
「サ道」によると、この「ととのいイス」に座ってしばらく経つと、
めちゃくちゃきもちい「整った」状態になるらしいので、座ってみました。
座ってしばらく経つと....
なんだかめちゃくちゃ気持ち良くなってきました。
初めての感覚です。水風呂を入ったばかりなのに、「寒い」という感覚はありません。
めちゃくちゃ幸せな気分になってきて、ニヤニヤが止まらなくなってきました。
目は半開きで、何も考えることなく、放心状態が続きます。
ふと、右隣のおっさんを見ると、隣のおっさんはうなだれたまま、
ダンゴムシのように丸くなっています。
そして、左隣のおっさんは、仰向けで口が半開きになっています。
二人とも、死んだように動きません。
完全に、ガンギマリのダウナーになってます。
その状況が面白くて、更に笑いが込み上げてきてしまいました。
そして、自分自身も、温泉で裸のおっさんを見て、ニタニタしている、
ヤバいおっさんの仲間入りをしてしまっていたのです。
その状況が、また面白くて、しばらく放心状態でニタニタしていました。
5分ほど「ととのいイス」に座ってニタニタしていると、
段々通常の状態に戻ってきました。
これが、「整う」か!
真理が分かってしまいました。
今まで、不可解な行動をしているおっさんを沢山見てきました。
「ひたすらサウナと水風呂を行き来するおっさん」
「ととのいイスでダウナーになっているおっさん」
「水死体のようになっている、水風呂に沈みっぱなしのおっさん」
「露天風呂エリアの岩の上で、打ち上げられた死体のようになっているおっさん」
全てのおっさん達の行動は、「整う」に繋がっていたのかと。
全員が思い思いのスタイルで、同じゴールを目指していたのです。
そうすると、なんだか温泉施設が1つの有機体のように、思えてきました。
それに気づいた時、私も不可解な行動をするおっさんの一員になっていたのです。
新たな趣味を見つけた私は、それから更に2回「整って」から家路に着いたのでした。