安楽日記

投資と生活について

2022年12月に読んだ本ベスト5

今回は、2022年12月に読んだ本の中から、特に面白かった本を5冊紹介します。

 

紹介する5冊については、順位がついている訳ではなく、新しい発見があったものや、勉強になるものをピックアップしています。

 

永野彰一『一生お金に困らない山投資の始め方』

一生お金に困らない山投資の始め方

一生お金に困らない山投資の始め方

  • 作者:永野彰一
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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相続が大変な山をタダ同然で譲ってもらって、山に立っている電柱使用料を電力会社から貰おう!という内容の本。

この本を読んでから山投資について調べてみましたが、上記のような「おいしい」山はあまり残っていない印象でした。

物凄く悪い見方だけど、出口流動性の確保のためにこういった本を出版して、自身が持っている山を売りつけるという見方もできなくはありません。

また、私は処分しにくい流動性の低い資産は持たないと決めているので、今後も手を出すことはないと思います。

しかし、人が気づきにくい投資のタネが身の回りに転がっている事を気づかせてくれるという意味では、勉強になった本でした。

 

荻原博子『買うと一生バカを見る投資信託』

この本に書いてある内容はほとんど間違っているのですが、反面教師として読むとかなり面白く、日本で資産運用が進まない理由が非常によく分かる本。

 

著者の荻原氏は経済ジャーナリストらしいですが、金融知識についてはど素人です。

荻原氏は、本書で「投資は危ないから素人は手を出すな!」と、バカの一つ覚えのように連呼します。

そして、資産運用については「円をガチホ!絶対に元本割れしない国債だけ買いなさい!」とアドバイスをします。

 

勿論、円の価値が数十年後も同じなのであれば、円建てで貯金をして国債に投資をすることは理にかなっているでしょう。

荻原氏が述べているように、元本割れはありませんし、国が利回りを保証してくれる国債であれば、確実にリターンを見込めるからです。

 

それでは、日本の物価がどれくらい上がっているか、確認してみましょう。

下記のグラフを見ると、日本の物価は、過去70年間で8.5倍に上昇しています。

70年前に1万円で買えていたものが、8.5万円払わないと買えなくなってしまっているのです。

仮に同じくらいのインフレがこの後起きると仮定すると、頑張って老後のために1,000万円を貯めても、70年後には今の117万円分しかお金が使えないことになってしまいます。

これでは、とても老後を過ごせません。

http://www.garbagenews.net/archives/2064125.html

ここ20年ほどは物価上昇は緩やかに推移していますが、2022年は4%近く上昇していますし、日本政府は前年度比2%のインフレ率を目標にしているため、今後もインフレは続いていくと簡単に予想できます。

 

そして、荻原氏が勧める、国債の利回りは高くても年利0.4%ほどです。

そのため、貯金を国債で運用しても、年2%のインフレが進行する場合、毎年1.6%(2.0%-0.4%)ずつ貯金の価値が下がっていってしまうのです。

荻原氏は「株式投資にはリスクがある!」と注意喚起をしますが、円で貯金をしている方がインフレによって実質的に資産価値が目減りするリスクがあるのです。

 

これを防ぐには、インフレと一緒に値上げを行う事ができる会社の株や、法定通貨の価値の下落に伴って相対的に価値が上がる金などに投資を行うべきです。

 

ここで取り上げたのは荻原氏の主張の一部で、その他にも本書には出鱈目な事ばかりが羅列されています。

本書に書かれている主張を精査することで、自身の金融リテラシーのチェックができるという意味で、お金が余っている人は読んでみても良いかもしれません。

 

モニーク・ヴィラ『現代の奴隷--身近にひそむ人身取引ビジネスの真実と私たちにできること』

現代の奴隷制度について書かれた本。

 

昔のように、異国で拉致されて働かされるというような形態の奴隷は減っている代わりに、債権奴隷が増えていると本書では語られています。

債権奴隷とは、「○○に行けば仕事が沢山あって幸せな生活が送れるよ!ただ、最初に諸々の手数料としてお金を貰うね」というような謳い文句で、暴利でお金を貸し付けられて、一生金利だけ搾取され続けるような労働者のことを指します。

 

こうして、日本に連れてこられて、性風俗産業で労働させられているような女性や、工場で働かせている男性が増えているようです。

 

この本を読んで、債権奴隷を作り出す過程は、異国の奴隷だけでなく、日本社会においても当てはまるものが多いと感じました。

 

例えば、少し前に「プログラミングスクールに通って転職して、年収100万円UP!」みたいなプログラミングスクールが流行りました。

しかし、実態としては年収300万円前後の貧困層にローンを組ませてスクールに通わせた挙句、年収300万円程度のSES(派遣エンジニア)企業に流しているのです。

SESは、ITプロジェクトの最下流の部分しか携わることができないため、給与も上がらず、貧困層からの脱却は不可能です。

そして、プログラミングスクールに払ったローンだけが残ります。

 

本書では、薬漬けにされて性奴隷にされるという、上記のプログラミングスクールの比ではない、被人道的な債権奴隷の様子が描かれています。

予め、こういった構造を頭に叩き込んでおくことで、地雷を踏み抜かないように生きていく可能性を上げる事ができる良書です。

 

エリック・ジョーゲンソン『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』

初期のTwitterやUberに投資したことで有名な投資家、ナヴァル・ラヴィカント氏の著作。

最近は思想家として、幸せに生きるための実践的な思想を広げているようです。

本書には、人生を幸せに生きるための術が沢山書かれています。

内容としては、「長期思考を磨け」「健康に気を遣え」「見栄を捨てろ」など、巷の自己啓発本に書かれているような主張が多いです。

 

しかし、何冊もの自己啓発本を読まないと得られないような、幸せに生きるための方法が一冊でまとまっているため、本書を読むことで10年は自己啓発本を読む必要がなくなります。

(自己啓発本界隈は、そこまで頻繁に大まかな主張は変わらないため)

 

本書は著者の意思によって無料で公開されているので、興味のある方は無料で読むことができるのも、とても良い点です。

 

こちらのURLから読む事ができます↓

https://www.sunmark.co.jp/book_files/pdf/978-4-7631-3979-5.pdf

高木瑞穂『覚醒剤アンダーグラウンド 日本の覚醒剤流通の全てを知り尽くした男』

最後に紹介するのは、日本で覚醒剤が広まった経緯を紐解いていった本です。

著者の高木氏が気の遠くなるような地道な取材により、今まで誰も触れてこなかった覚醒剤流通の経緯について書かれています。

 

ヤクザと警察の覚醒剤を通したズブズブな関係や、これだけ摘発されて取り締まりが厳しくなっているのにも関わらず、国内での覚醒剤の流通がなくならない理由など、普通に生活していたら絶対に知らない裏社会の事情を学ぶ事ができます。

 

この本を読む前と読んだ後では、覚醒剤絡みのニュースも全く違った視点で咀嚼することができるようになります。

普通の人であれば実生活に役に立つ!という訳ではありませんが、知識欲・好奇心が満たされまくる良書です。

 

高木氏の本は、他の著作もとても面白いので、紹介させてください。

 

高木瑞穂『売春等「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』

三重県にある、かつて買春で島の経済が成り立っていた渡鹿野島について取材した本。

買春島が誕生した経緯から廃れていった理由まで、かなり詳細に書かれています。

長年、都市伝説のように語られていた渡鹿野島の実態を紐解いた、唯一の本だと思います。

 

高木瑞穂『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ"女子高生"12人の生告白』

繁華街に行くと、「JKおさんぽ」や「JKリフレ」という内容のお店を目にすることが増えてきました。

そうしたアンダーグラウンドなお店の、法律ガン無視の実態について書かれた本です。

普段生活していたら、知らない世界なのでとても勉強になりました。

「自分には関係ない」と片付けるのではなく、そういう現状がある事を理解することで、社会の解像度がグッと上がるでしょう。

 

2022年12月も素敵な本に出会えました!

また、来月になったタイミングで、先月に読んだ本を紹介しますので、読者登録をしていただけると嬉しいです。

 

前回の記事↓

mitibatacul.hatenablog.com

 

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