安楽日記

投資と生活について

ウォーレン・バフェットが仮想通貨を買わない理由をもう少し深掘りしてみよう

投資の神様、ウォーレン・バフェットは仮想通貨に対して、長年、批判的なスタンスを取っていることで有名です。

 

そんなバフェットに対して、「バフェットは分からない事に対して投資をしないポリシーだから、仮想通貨を理解できなくてもしょうがない。ITの事が分からないから、GAFAへの投資へもできていなかった訳だし」というような見方をしている人も少なくありません。

 

バフェットは本当に仮想通貨の事が理解できてないが故に投資をしていないのでしょうか?

バフェットは分かりやすく、シンプルなビジネスモデルの会社に投資をすることを好みますが、最近はIT関連銘柄への投資も積極的です。

現に、現在のバークシャーのポートフォリオの大部分はApple株が占めています。

そのため、「ハイテク技術だからバフェットは仮想通貨に投資をしないんだ」と決めつけてしまうのは早計です。

 

そこで、今回は、バフェットの投資哲学を振り返って、バフェットが仮想通貨に投資をしない理由と、仮にバフェット流に考えた時にどの銘柄に投資するべきか?について、考えてみようと思います。

https://bittimes.net/news/54698.html

バフェットの投資スタンス

まずは、基本的なバフェットの投資スタンスを確認しましょう。

バフェットは、会社の株式のように、アセット自体が富を生み出すものへの投資を好みます。

利益の出し方については、配当によるインカム収入でも、自社株による株価自体の上昇でもこだわりはありません。

また、農作物を育てることができる農場のように、そのアセット自体が着実に利益を産むものであれば、会社の株式でなくても良いのです。

 

金に対するバフェットの考え

発行数量に上限があるビットコインは、下記のように金と似ている特徴を持つことから、デジタルゴールドと呼ばれることがあります。

 

・決済手段としての活用が可能

・偽造が不可能

・経年劣化しない

・市場への供給量が決まっている(希少性)

 

バフェットは、金については次のような考えを持っています。

 

金を購入する人のほとんどは、今後も他の資産への不安が強まると考えて金を買っています。そして、この10年でその考えは正しかったことが明らかとなりました。さらに、価格の上昇によってさらなる買い意欲がかき立てられ、価格の上昇は金への投資が正しいことを示すものだと考えた買い手を引き付けてきました。「便乗タイプの投資家」が参入すると、しばらくの間はそれらしくなるものです。

(引用:『バフェットからの手紙』)

 

このように、バフェットは金への投資について、批判的に捉えています。

後から参入した人たちのお金で先行者が美味しい思いをする、仮想通貨界隈で用いられるような意味でのポンジスキームだと捉えているのです。

そのため、バフェットは世界中の金を買い占められるお金を持っていたら、金ではなくて、会社の株式や農場を買うだろうと発言しています。

 

金への投資ですら、批判的な考えを持っているバフェットが仮想通貨への投資を好まないのは当然であると言えます。

 

法定通貨の価値の毀損に対抗するには?

ビットコインや、その他仮想通貨に投資をする人の中には、「法定通貨は供給され続けるので、法定通貨の価値は毀損し続ける」という意見を持っている方もいます。

バフェットもその点に対しては同じ意見を持っており、過去数十年続き、これからも続くであろう米国の経済政策を考えると、米ドルの価値は毀損し続けると考えています。

そのため、必要以上に債権へ投資をすることも好みません。

2011年の株主総会では、債権への投資に対して、シェルビー・カロム・デービスの次の言葉が当てはまるとさえ述べています。

 

債権は無リスクのリターンを売り物としてきたが、今では無リターンのリスクをもたらすものとして値が付けられている。

(引用:『バフェットからの手紙』)

 

では、法定通貨の価値が下がっていくという前提条件の元、何に投資をすれば良いのでしょうか?

バフェットは、株式や農場・不動産にこそ、投資をするべきだと考えています。

先述した、アセットが富を生み出すようなものへの投資です。

 

仮に、ドルの価値が全くなくなり、人々が貝殻で物々交換をするようになったとします。

通貨が貝殻になったとしても、人々は数分間の労働で得た貝殻を、喜んでコーラや食料に交換したり、快適な住居空間を買ったり、借りたりするでしょう。

そして、これらを提供する会社や不動産は利益を生み出し続けます。

こういった、例え法定通貨の価値がゼロになったとしても、人々が必要としているものを供給する事ができる会社やアセットに、バフェットは投資をしなさいと言っています。

これらのアセットは、例えインフレが発生したとしても、価値が毀損されないからです。

 

仮想通貨は価値を生み出していない?

ここまで、「ビットコインや仮想通貨はそれ自体は富を生み出していない」という前提で、話を進めてきました。

そこで、「仮想通貨は取引手数料でマイナーやステーキングをしている人に報酬を渡しているから、利益を生み出しているじゃないか」と考える方もいるでしょう。

 

しかし、現状、仮想通貨のほとんどのプロジェクトは入ってくる取引手数料よりも、発行コストの方がはるかに大きい状態(=赤字)です。

https://newsletter.banklesshq.com/p/the-first-profitable-blockchain?utm_source=substack&utm_campaign=post_embed&utm_medium=web

取引手数料よりも発行コストの方が大きいとは、どういう状況なのでしょうか?

例えば、ビットコインであれば、ビットコインの送金の時に支払われる手数料よりも、ビットコインのシステムを維持するためにマイナーに支払う報酬の方が、大きくなってしまっています。

当然、マイニングにはコストがかかるため、それを賄うためにマイナーはビットコインを売却しなければいけません。

マイナーの売り圧力を市場が吸収できなければ、ビットコインの価格は下がってしまいます。

つまり、今のところは、今後の将来性を見込んだトークン自体の買い圧力によって、トークンの価格の維持・上昇がされているだけで、現状は買いが買いを呼んでいるだけのポンジ的構造と変わらないのです。

 

その状況を脱却しつつあるのが、Merge後のイーサリアムです。

上の表を見るとMerge後のイーサリアムは、新しく発行されるイーサリアムよりも、手数料の方が大きくなっている事が分かります。

 

そのため、今後イーサリアムが今と同じくらいかそれ以上の量、継続して利用され続けるという前提であれば、チェーン自体が利益を出していると捉えられるでしょう。

「富を生み出すアセットへの投資」という観点で考えたときに、イーサリアムへの投資は悪くなさそうです。

勿論、他のプロジェクトも将来的には、チェーン自体が利益を生むようになる可能性はあります。

しかし、バフェットは既に確立されたビジネスモデルに対して投資することを好みます。

マイナスの事業をプラスにするよりも、好調な事業を伸ばす方が簡単なことを知っているからです。

 

投資で成功する条件

成功している投資家は、バフェットのように自分で決めたルールを、頑なに守っている人が多いです。

バフェットはこれを「能力の輪」と表現しています。

自分が詳しくない分野や確信を持てない手法など、「能力の輪」を超えたポジションは絶対に持たないのです。

 

米国のインフレが収まり、金利が下がってくると、仮想通貨業界も盛り上がってくると思います。

その中で、「この銘柄を買えば儲かる」といった意見や、「自分のサロンに入って投資を学べば儲かる」といった人が、より増えてくると思います。

しかし、人に勧められて買った銘柄や、人の意見に流されずに、自分の判断基準をしっかり持って投資をしないと、上昇相場でも利益を残せずに損失を出してしまうことになるかもしれません。

 

人の意見は参考にしつつも、鵜呑みにすることはなく、相場に向き合っていきたいですね。

 

最後に、今回引用でも使わせてもらった、バフェットが毎年株主に対して書く手紙の文章をまとめた本を紹介します。

バフェットの投資哲学を学ぶ上で、とても参考になるので興味のある方は読んでみてください。

 

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