こんにちは。安楽です。
今回は、2023年1月に読んだ本の中から、特に面白かった本を5冊紹介します。
特に順位がついている訳ではなく、新しい発見があったものや、勉強になった本をピックアップしています。
鈴木俊隆『禅マインド ビギナーズ・マインド』
恐らく世界で一番読まれている禅に関する本。
禅に関する考えが詳しく網羅的に書かれており、これ一冊を読めば、禅についての理解が広がると思います。
しかし、そこそこ分量があって、少しスピリすぎて分かりにくい表現も多いため、もう少しライトに読める本から読んでいっても個人的には良いんじゃないかと思っています。
枡野 俊明さんの本なんかは、平易な言葉で実生活に即した形で禅を教えてくれます。
個人的には、禅のスピリチュアルな側面はあまり好きではないので、あくまでも実利的な側面に焦点を当てた本が好きです。
(そういうことを言うと、ガチ勢の人には「利益を求めるな!」と叱られますが...)
禅ガチ勢でなくても、最近、「利益を求めずにひたすらNFTをガチホしよう」という、禅の考えを私利私欲のために悪用するインフルエンサーも出てきました。
しかし、禅の教えにはそんな教えは一つも出てきません。
禅の修行は、ただひたすらに座禅すること、それだけです。
禅の教えを捻じ曲げて、私利私欲のために利用しようとする、詐欺師の讒言に惑わされないためにも、正しい禅に対する考えを教養として身につける目的で読んでみても良いと思います。
川本晃司『スマホ失明』
若い時にスマホを近距離で見すぎると、近眼が一気に進むよ!という内容の本。
20歳くらいまでの成長期に眼も一緒に成長するのですが、その時期に近距離ばかり見ていると、眼球が伸びてしまい、元に戻らなくなってしまうそうです。
20歳を過ぎて視力が一気に悪くなる人ってあんまりいないなあ...と思い、勉強になりました。
そのため、「成長期の子供に近距離でデジタルデバイスを見続けることは絶対にやめさせて!」と本書は警鐘を鳴らします。
あまりに進行しすぎると、本のタイトルにもあるように、ほとんど失明しているような状態になってしまうのだそうです。
実際に私も中学生からスマホばかり見ていたら、一気に目が悪くなってしまいました。
(両親は目が良いので、遺伝ではなさそうです)
最終的には、視力が0.01程度になってしまい、コンタクトかメガネをしないと生活がままならない状態になってしまいました。
もっと早くこの本に出会っていれば...と後悔しています。
しかし、今となっては既に時遅しです。
私は1年ほど前にICLという手術を受けて、強制的に裸眼の視力を1.5まで上げました。
このICLを受けるために、かなりのお金と時間を使うことになってしまいました。
ICL代で50万円近くかかりましたし、コンタクトも10年近く使用していたため、視力が悪くなったことで100万円近く損していることになります。
この金額を複利で運用していたら...と思うと、涙が止まりません...。
後天的に目が悪くなってしまう人を1人でも減らすために、お子さんがいる方には、是非読んでもらいたい一冊です。
青木雄二『ナニワ金融道』
難波の闇金業者で働く主人公を描いた金融漫画です。
ウシジマくんと並んで、お金の勉強のために読んだ方がいいと言われる事が多い作品です。
絵柄はポップですが、内容はウシジマくんよりえげつなかったりします。
儲ける方法は書かれていませんが、絶対にやってはいけないすぐに破産できる事例が、これでもかというくらい載っているので、高校を卒業したら一度は読んでおいた方がいい内容だと思います。
(ウシジマくんとナニワ金融道読んでいれば、マルチに騙される人とかだいぶ減ると思います...)
私が一番ゾッとしたのは、証券会社に丸め込まれて、先物取引を始めさせられた学校の先生の話です。
ビギナーズラックで儲けが出たのをいいことに、次々に借金をして種銭を増やし、損失が出ると「これ以上損失が広がらないように両建てしましょう!」と、証券マンから意味不明なアドバイスを受けて、さらに闇金から借金をして種銭を増やし、最後は利息の返済ができずにパンクしてしまいます。
ナニワ金融道の破産者たちは自信満々で地雷原に走っていきます。
気づいたら、リスクしかない嵌め込み案件に片足を突っ込んでいた...なんて事を防ぐためにもおすすめの一冊です。
貞包英之『消費社会を問いなおす』
本書のタイトルを見て、「また共産主義的な本かあ...」と思った方もいるかもしれません。
しかし、この本はよくある「資本主義は限界が来ているから、みんなで脱成長しよう!」的な本ではありませんでした。
どちらかというと、消費社会のメリットを受け止めた上で、消費社会が持つ力をどうやっていい方向に使っていくことができるだろうか?という部分に論点を置いた内容です。
ベーシックインカムを導入することで、生活のレベルを上げることで、安いけど環境に悪かったり、奴隷労働によって生み出されたものを買わなくてもいい社会になったらいいよね!という主張が本書ではされています。
全員にお金を配ったらその分物価が上がってしまうから、SDGs的じゃなくても安いものを買う人は残るんじゃないのかな...?と思ってしまいましたが、実験としてやってみるのは面白そうだし、人々の行動がどう変わるのかは非常に気になります。
ジョン・K・ガルブレイス『大暴落1929』
70年近く前に出版された本にも関わらず、大暴落が起こるたびに必ず売れることで有名な本。
世界恐慌のきっかけになた1929年の大暴落の前後の状況を記録した名著です。
世界恐慌の際、NYダウは最大89%値下がりし、回復まで25年かかりました。
去年のインフレショックの比じゃないですね...。
そんな史上最大の大暴落を記録した世界恐慌の前には、数々の危険シグナルが点灯していました。
有名な「靴磨きの少年が投資の話を始めたら天井」という話も、この時のエピソードです。
世界恐慌の前、上がり続ける株価を見て、本来なら投資をするべきでない余裕資金がない人たちも大量に株を買い始めていました。
彼らは自己資金の何倍も借金をして株を買っていたのです。
さらに、怪しげな投資信託が次々に売れたり、大して利益を出していない会社でも異常な高値がつくような、狂った相場に移行していきました。
そして、天井が訪れます。
最初は一部の賢明な投資家が売り抜け、それを察知した人が株を売りはじめ、次第に売りが売りを呼ぶ大暴落相場が到来しました。
当時はサーキットブレイカー(大きく相場が動いたときに一時的に取引を中止する制度)もなかったため、ひたすら株価は下がっていきました。
その過程で、レバレッジをかけていた投資家はあっという間に資金を吸い取られ、借金をしていた投資家は一文なしになってしまいました。
実体の価値よりも高くなった金融資産に借金やレバレッジによる大量の資金が集まり、それが大天井を迎えて崩壊する。
これは、2022年の仮想通貨相場の状況ともよく似ています。
米国の株式や債券も利上げによってかなり下落したとはいえ、数々の大暴落を経験してそれなりに骨太な仕組みが出来上がっているため、1929年やリーマンショックのように極端に暴落するようなことはありませんでした。
一方、仮想通貨は銘柄にもよりますが、6割〜9割ほど下落してしまいました。
ほとんど実態がないものに対して多額のお金が集まり、プロジェクト同士でトークンの持ち合いをしたり、所有しているトークンにレバレッジをかけていたりと、出鱈目な運用をしている組織やプロジェクトばかりだったからです。
しかし、人々はWeb3・ブロックチェーンが絡んでいれば、次々にお金を投じていきました。
その中には借金をしている人もいました。
その結果、金利が上がって市場からお金が流出したタイミングで、次々にファンドや取引所が破綻していきました。
仮想通貨市場には、米国の株式市場のようにきちんとした規制がなく、投資家保護の仕組みも整っていないため、膿が溜まりまくっていたのです。
しかし、TerraやFTXの破綻を機に、次々に投資家保護のための規制が進んでいます。
今後、健全な形でクリプトが広まれば、多少のマイナス要因があっても、大きく暴落することのない骨太な経済圏が築かれる可能性もあります。
しかし、株式市場は1929年の大暴落の後にも、オイルショックやブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマンショックなど、何回も大暴落を経験しています。
そのため、ある程度規制が進んでも、どこかで大きな下落はきます。
その時は『大暴落1929』に書いてある状況と似たような事が起こります。
市場が盛り上がってきたタイミングで本書をもう一度読み直す予定です。
2023年も初月から素敵な本を沢山読むことができました!
気になった本があれば、ぜひ手に取ってみてください。
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