こんにちは。
安楽です。
今回は、2022年10月に読んだ本の中から、特に面白かった本を5冊紹介します。
先月のベスト5はこちら↓
紹介する5冊については、順位がついている訳ではなく、どれも楽しめる・勉強になるものをピックアップしています。
お休みの日や、移動のお供に手に取ってみてください!
アンナ・レンブケ『ドーパミン中毒』
中毒のメカニズム
「中毒」というと、お酒やタバコ、ドラッグを思い浮かべがちです。
しかし、昨今、SNSやYouTube動画、ポルノなども依存性が高いことが分かってきました。
「SNSや動画を見ていたらいつの間にか1日が終わってしまって、喪失感だけが残った..」という経験をしたことがある方は、多いのではないでしょうか?
依存症(中毒)には、物質的依存と精神的依存の2種類があります。
物質的依存は、お酒やタバコのような、依存性のある物質を体に取り込むことで、依存性物質が脳に直接働きかけて、ドーパミンをドバドバと放出させる事で依存に陥ります。
精神的依存は、SNSや動画のように、直接何かを体に取り込むわけではないけれど、その行動自体がドーパミンを放出させるため、実益があるわけではないのに、その行動をやめられなくなってしまう依存です。
少し前までは、物質的な依存ばかりが注目されていたのですが、最近は精神的依存についても、焦点が当てられることが増えてきました。
基本的に、依存症はドーパミンによって気持ちよくさせて、「もう一回気持ちよくなりたい!」と思ってしまう、脳のメカニズムによって引き起こされます。
そのため、「気持ちいー!」と感じることであれば、極論、どのような対象でも依存に陥る可能性があるのです。
ランダム性を利用した依存
プラットフォーム側が意図的に消費者を精神的依存に陥らせるテクニックも存在します。
精神的依存に陥りやすいコンテンツの特徴は、「ランダム性」が含まれているものです。
ランダム性とは、コンテンツに当たり外れが含まれており、それらが規則性を持たずにランダムにアウトプットされることです。
ランダム性によって、「当たり」が出た際には、大量のドーパミンを放出させます。
パチンコでたまに大当たりが出た時や、たまに見つかるYouTubeの面白動画を見つけた時には、ドーパミンが沢山出ているのです。
昨今のスマホを介して提供されるコンテンツには、なるべく長い時間そのサービスを使ってもらうために、このランダム性を利用して利用者を依存症に近い状態にさせているものが少なくありません。
そして、その技術は段々と研ぎ澄まされていき、「単純作業×ランダム性」が一番、人を没頭させやすい事が分かってきました。
SNS、動画サイト、マッチングアプリ、ポルノ、ソーシャルゲームetc...
単純なスワイプやタップの繰り返しの中に、たまに発生する嬉しいイベント。
これらは全て、退屈な単純作業とランダム性によって成り立っています。
良い習慣であれば多少依存しても害にはなりませんが、上記のコンテンツは時間とお金を浪費し、後には何も残らないものが多いため、注意が必要です。
こういったドーパミンの発生や、依存症のメカニズムを知っておくことで、知らず知らずのうちに人生を台無しにする中毒に陥ることを防ぐ方法について学べる一冊でした。
奥村歩『スマホ脳の処方箋--あなたの健康を脅かす』
PCやスマホに提供されるコンテンツに中毒になってしまうことで、常に脳にドーパミンが与えられてしまう状態になり、脳過労に陥る危険性を説いた本です。
脳過労とはその名の通り、常に脳が極度に酷使されてしまっている状態を指します。
PCのメモリが常に圧迫されていて、全ての動作に支障が出ているようなイメージが分かりやすいかもしれません。
脳過労になると、脳の疲れが全然取れずに、集中力が減ったり、無性にイライラしたり、仕事や私生活で小さなミスが頻発するようになります。
また、脳過労が常態化すると、若年性認知症になりやすい事も分かってきています。
本書には、脳過労のメカニズムや、脳過労を避けるために私たちができる事が書かれています。
原因不明の「集中力の低下」「肩こり」「睡眠障害」「イライラ」などが当てはまる方は、スマホによる脳の疲れをとることで、症状が改善するかもしれません。
久賀谷亮『世界のエリートがやっている 最高の休息法』
先の本で、脳を常時働かせることによって生じる、脳過労についてお話をしました。
しかし、毎日仕事はあるし、プライベートや副業でPCやスマホを使って何か作業する機会は多いでしょう。
SNSやソーシャルゲームの時間を減らしても、いつの間にか、その時間が他の作業に取られてしまうこともあります。
そういう方は、強制的に脳みそを休ませる時間を作りましょう。
PCのメモリを一旦リセットして、動作を軽くするようなイメージです。
最近、アメリカのシリコンバレーを中心として、マインドフルネス(瞑想)が広まってきています。
瞑想というと、スピリチュアルな印象がありますが、実は脳疲労やストレスの解消に非常に効果がある事が分かってきました。
本書も、イェール大学の医師の方が書いていて、あくまでも科学的な根拠に基づいて瞑想の効果が書かれています。
合理的で効果があるものにしか手を出さない、シリコンバレーの人たちが実践している事が証明するように、瞑想は東洋の神秘的な作法でなく、科学的に効果のある良い習慣として、認知され始めています。
私も、先月から毎日5分の瞑想を生活に取り入れ始めました。
瞑想をすることで、とても思考がクリアになり、サウナに入った後のようなスッキリとした気持ちになります。
また、自分を客観的に見ることができるようになり、少々のことでは感情的になることが滅多になくなりました。
少しスピリチュアル的な表現となってしまいますが、悟りを開いたような感覚になります。
睡眠環境は整えているのに、どこか毎日の疲れが取れない...という方は、生活に瞑想を取り入れてみてはいかがでしょうか。
金嶽宗信『[禅的]持たない生き方』
先ほど紹介した瞑想は、禅宗に深い関わりがあります。
そして、禅宗はスティーブ・ジョブズが学んでいたように、ミニマリスト的な価値観とも合致します。
私も恐らくミニマリストに近い思想を持っているため、前から禅については興味を持っていたましたが、宗教嫌いな事もあり、あまり深くは知ろうとは思っていませんでした。
しかし、本書を読んでみると、余計な物や人間関係を極力持たない生き方や、坐禅によって現実をあるがままに捉えるなど、かなり私の考えに近い、思想だったのです。
「世界の真理を知る」みたいな答えがあるのかないのか分からないものに対して、あれこれと考えるのではなく、あくまでも実生活を生きやすくするような、普遍的な思想ばかりなのが良いと思います。
元々、物欲は減ってきていましたが、本書を読んで更に見栄や贅沢には興味がなくなってきました。
見栄の気持ちを抑えて、出費を減らすことで、資産形成にも繋がるおすすめの一冊です。
麻布競馬場『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』
最後は、珍しく小説の紹介です。
勉強ができる地方の学生や社会人が、憧れの東京に出てきて、競争社会の中で、挫折と虚無感に押しつぶされてしまうような短編がいくつか収録されています。
ざっくりいうと、大学や会社で「本当にできるやつ」と出会ってしまい、仕事で成果を出すことを諦めて、Tinderのようなマッチングアプリで、女の子を漁ることで、安易な達成感を求めるようになり、エンドレス虚無感に陥るようなお話が多いです。
私もつい最近まで大学生だったので、「あ〜確かにこんな感じの人が多かったなぁ」と懐かしい気持ちになりました。
彼らが不幸になる原因は、自分と人を比べてしまうからです。
自分より勉強や仕事はできる人はいくらでもいるし、自分よりモテる人もいくらでもいます。
終わりがない競争に腐心すると、時間とお金をドブに捨ててしまい、不幸な気持ちだけが残る人生を送ることになります。
そこで、先ほどの禅宗的な考えを取り入れることが重要になってきます。
見栄を捨てて自分のあるがままを受け入れる事で、終わりのない競争レースから逃げることができるのです。
後は、自分が心地よいと感じる人生を突き詰めればいいだけです。
比較対象が、他人ではなく、昨日の自分になります。
昨日より今日、今日より明日が良くなっていればそれで幸せを感じる事ができます。
仮に、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』を読んで、自分のことを書かれているように感じた方は、見栄を捨てることで楽に生きられるかもしれません。
ということで、10月も素敵な本に出逢えた1ヶ月でした。
来月も素敵な本に出逢えることを楽しみにしています。
それでは、また来月に更新します。
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