こんにちは。安楽です。
今回もLiquityについての記事を書いていこうと思います。
本記事ではLiquityにおけるLQTYの適正価格について、考えていこうと思います。
・LQTYの役割
・LQTYの市場への供給量
・LQTYの価格はどのようにして決定されるのか?
上記の点について考える事で、LQTYへの投資が理に適っているのかを判断する助けになるからです。
先日書いた下記の記事を読んで頂くと、この後の説明も理解しやすくなると思いますので、未読の方はご一読ください。
①Liquityの概要について説明した記事
②最近LUSDが注目されている理由について書いた記事
LQTYのユーティリティ
まずは、LQTYのユーティリティについて、おさらいをしていきます。
・最大供給量:1億トークン
・バーン機能:なし
・ガバナンス機能:なし
・獲得方法:LUSDのプール報酬、フロントエンドの運用報酬、Uniswapへの流動性の供給
・ユーティリティ:ステーキングする事で、LUSD借入時・償還時の手数料を得られる
ユーティリティとしては、LUSDの借入・償還の手数料を得られる以外ないため、ここだけ押さえておけば問題ありません。
市場への供給
次に現在、どれくらい市場にLQTYが供給されているかを確認していきます。
仮に、多くのホルダーがロックアップ期間中で売りに出せない状態で、ロックアップが解除された途端に大量のLQTYが売却されてしまった場合、LQTYが暴落してしまう可能性があるからです。
クリプトでは、最大供給量に比べて極端に市場に流通するトークンを少なくすることで、価格を釣り上げてから大量に売りをぶつけるようなプロジェクトも存在します。
そのため、今後供給されるであろうLQTYの量と、現在のホルダーの比率を確認しておきましょう。
初期ホルダーへのLQTYの分配
公式HPによると、LQTYは下記のように分配されています。
・Liquityコミュニティ(33.3%):LUSDのプール報酬などに割り当てられる。
・コミュニティリザーブ(2.0%):助成金やハッカソンなどに利用。
・Liquityの従業員等(23.7%) :2021/4/5から4年かけてロックアップが外れていく。現在半分ほどがロックアップ解除。
・投資家(33.9%) :2021/4/5から1年が経つとロックアップ解除。
・Liquity AG(6.1%) :2021/4/5から1年経つとロックアップ解除。
・サービスプロバイダ(1.0%) :Liquityを支援したサービスプロバイダに配布。2021年4月から1年経つとロックアップ解除。
上記のように、ほとんどの初期のホルダーへ配布されたLQTYのロックアップ期間は終わっており、市場には最大供給量の91%(2023年3月5日)のLQTYが流通している事が分かります。
現在のホルダーの内訳
次に、現在のホルダーの内訳を確認します。
1番の53%を占めているアドレスは、LQTYがstakingされているウォレットのアドレスです。
2番の9.8%を所有しているのは、全く資金を動かしていない事から、運営サイドのアドレスだと思われます。
3番の9.2%を所有しているのは、バイナンスのアドレスです。
4番目の8.9%は、Liqtuityコミュニティのアドレスです。
それ以外は、全体の2%以下のLQTYしか保有していないアドレスで、適度に分散されていることが分かります。
現在の大口ホルダーは運営サイドばかりなので、すぐに大きな売りを仕掛けてくる大口はいないと考えられます。
LQTYの価格はどのように決定されるのか
では、本題のLQTYの価格はどのように決定されるのかを考えていきたいと思います。
先ほども述べたようにLQTYを保有するメリットは、LUSDの借入・償還時の手数料を得ることができる点です。
そのため、LQTYをステーキングする事で、どれくらいの利回りを得ることができるのかを考える事で、ある程度のLQTYの理想値を求める事ができそうです。
LQTYの利回り
まずは、LQTYをステーキングすることで得られる利回りを確認しましょう。
現在のLQTYをステーキングすることで得られるAPYは、直近7日の平均で約0.7%です。
非常に低いですね。
しかし、その直前にはAPYが40%を超えている時期があります。
また、それ以外も極端に高い数値と一桁台の数値を行ったり来たりしていることが分かります。
どうやらLQTYの価格は、LQTYをステーキングすることで得られる、「現在」のAPYに依存している訳ではなさそうです。
将来見込まれるAPYを見込んで、価格が決められている?
先日記事に書いたように、高い検閲耐性を備えた分散ステーブルコインとして、LUSDに注目が集まっています。
そのため、今後のLUSDの流通量が増えていき、借入・償還された際の手数料収入を見込んだ価格がつけられている可能性があります。
ここでは、他のステーブルコインの時価総額を基準に、どれくらいの手数料収入が入ってくる見込みがあるのかを試算してみます。
2023年3月6日現在の主要ステーブルコインの時価総額は下記の通りです。
仮に、LUSDが上位のステーブルコインと同じくらいの時価総額になったら、LQTYのステーキングによる手数料はどのくらい得ることができるのでしょうか?
上位のステーブルコインの時価総額とLUSDの時価総額の差分に、0.5%の手数料をかけて1LQTYあたりの配分手数料を計算したのが下記の表です。
LQTYは一旦6,000万LQTYがステーキングされると仮定しています。
また、LUSDの時価総額が大きくなる過程で借入と償還が繰り返されるため、実際にはより多くの手数料を見込めるはずですが、一旦差分を一直線に埋めた場合の手数料にて試算しています。
上記の表だと、LUSDがBUSDの価格と同じになっても、1LQTYあたり0.7ドルほどの手数料報酬しか得られない事が分かります。
分散ステーブルコインの王者である、DAIと同じ時価総額になっても0.4ドルの報酬です。
現在のLQTYの価格は2ドルほどなので、些か割高だと考えられます。
勿論、クリプト自体に入ってくるお金が増えてくれば、よりステーブルコイン同士で奪い合うパイが大きくなって、LQTYの価格が割安になってくる可能性もあります。
しかし、あくまでも現在のパイの大きさで考えると、LQTYは少し割高に感じます。
そのため、私は一旦LQTYを全て売却しました。
0.5ドルくらいになったら買ってみようかなと思っています。
(この基準はクリプトに流入するお金が増えれば変わってきます)
私の計算はかなりざっくりした仮定に基づいているため、これからLQTYが更に上昇する可能性もあります。
しかし、私は確信が持てないものを適正だと思えない価格で買うことは避けたいので、適正価格に落ち着くまでは様子を見ていこうと思います。